この科目の範囲は、<発電所及び変電所の設計及び運転、送電線及び
配電線(屋内配線を含む)の設計及び運用並びに電気材料>です。
令和元年度の問題研究 令和元年−09−18更新
問 8、13、15、16、17
平成30年度の問題研究 2018−10−19更新
問 5、8,13、15、16、17
平成29年度の問題研究 2017−09−24更新
問 4,8,11,15、16、17
平成28年度の問題研究 2016−10−01更新
問1,6、9、13、15、16、17
平成27年度の問題研究 2015−09−28更新
問 3、10、13、15、16
平成26年度の問題研究 2014−09−30 更新
「電力」 問 6,7、 12、 15、16、17
平成25年度の問題研究 2013−10−06更新
「電力」 問 2,9,13、15,16、17 の解説・解答
平成24年度の問題研究 2012−10−27の更新
「電力」 問 4、10、11,13、15、16、17 の解答 解説
四端子回路網 入門 2011−11−25 更新
四端子回路網入門(つづき) 2011−12−02更新
平成23年度の問題研究 2011−10−20 更新
「電力」 問 9、11、15、16、17 の解説・解答
送電線路の最大送電電力と電力円線図 2011−05−16更新
送電線のねん架に関する例題の解説 2010−06−03更新
平成22年度の問題研究 2010−10−27 更新
「電力」 問 6、7、9、10、15、16、17 の解説・解答
問10 関連問題 ⇒参照
平成21年度の問題研究 2009-10-15 更新
「電力」 問 1、7、10、11、15、16、17 の解説・解答
平成20年度の問題研究 2008-09-27更新
「電力」 問8、15、16、17 の解説・解答
平成19年度の問題研究 2007−10−05更新
「電力」 問2、問10、問13、問15、問16、問17の解説・解答
平成18年度の問題研究 2006−11−02更新
「電力」 問12、問13、問15、問16、問17 の解説・解答
この科目の内容は、発電所から需要家に至るまでの諸設備に関するものです。水力、火力、原子力の各発
電所で発電した電気は、発電所→送電線→変電所→配電線→引込み線などの電力設備を経て、需要家まで
届けられます。
今回は、前半に”送電線用鉄塔2種類と配電線”を、後半に、”新潟大停電”、”過去の問題研究:最近11年間
の計算問題”などを採り上げました。
<主要な内容> 新潟大停電 最近11年間の計算問題研究 単位について 表皮作用(効果)
ベクトル計算 交流発電機の原理と水車発電機・タービン発電機の比較
核燃料サイクル・ウラン濃縮・プルサーマル計画
私の住む流山市付近では、高い電圧の送電線がよく見られます。この写真は、東京電力新野田変電所に
出入りする50万ボルト送電線の鉄塔です。
送電線に使用される電圧は、50万ボルト、27万5,000ボルト、15万4,000ボルト、6万6,000ボルトなどがあり
ます。50万ボルト、27万5,000ボルトは発電所からの長距離大容量の送電線に用い、消費地に近づくにつれ、
15万4,000ボルト、6万6,000ボルトと電圧を下げ、配電用変電所で6,600ボルトに下げて配電線に送り、一般
家庭には柱上変圧器で更に100/200ボルトに下げて配電される。
送電線の電圧は、高いほど送電損失が少なく、電線も細いもので済むことになり経済的であるから、発電機
で起こした電気の電圧を50万ボルトまたは27万5,000ボルトに上げて送電する。
(発電機で発生可能な電圧には限度があり、3,300〜1万8,000ボルトである。)
送電電圧がある電圧以上になると、電線に接する空気の絶縁が局部的に破れてイオン化し、ジージーという
音を発し、夜間では電線の周りに薄白い光が見える放電が起こる。これをコロナといい、コロナが発生し始める
電圧をコロナ臨界電圧という。
コロナが発生するとコロナ損が起こり、送電効率が低下し、送電線の近くではコロナ雑音によってラジオなど
に受信障害を与える。
高電圧送電線の方式を,多導体(4導体、2導体など)するのは、コロナ発生防止策として、電線の”最大表面
電位の傾き”が15kV/cm程度以下となるように、電線の表面積を大きくして電界の強さを下げ、コロナの発生を
抑制するためである。その他に、インダクタンスが減少し安定性が増大する、などの利点があるが、欠点として
は、作用静電容量の増加によるフェランチ現象の発生、構造の複雑化による設備費の増大などがある。
4導体は50万ボルトに、2導体は27万5000ボルトに、単導体は15万4000ボルト以下に用いられる。
下の写真 ”配電柱のしくみ”は、東京電力のパンフレット”電力設備”より転写したものです。
核燃料サイクル・ウラン濃縮・プルサーマル計画 (2006/08/01更新)
最近の新聞・テレビ等で、ウラン濃縮・核燃料サイクル・プルサーマル計画などが話題となっている。
これらは主に発電用原子炉に関するもので、これに関する電験三種「電力」の問題としては、
平成11年に次のような出題があった。
核燃料サイクル
ウラン鉱石を掘り出して精製濃縮し、核燃料として原子炉で核分裂を起こさせ、その熱を利用して
発電する。その「燃えかす」から、プルトニウムや燃え残りのウランを取り出し、再び燃料として利用
する仕組みを「核燃料サイクル」と呼んでいる。
上の問題の図、下の模式図は、核燃料の一連の循環過程を示す「核燃料サイクル」である。
プルサーマル計画
原子力発電所の使用済み核燃料を再処理して、プルトニウムを取り出し、ウランに混ぜた
“混合酸化物(MOX)”燃料を作って利用する“プルサーマル計画”が進行中である。
*ウラン採鉱 ウラン鉱山からウランを掘り出す。「ウラン235」の含有率は0.7%である。
*精錬工場 ウラン鉱石から粉末状のウラン「イエローケーキ」を取り出す。
*転換工場 イエローケーキを、濃縮しやすいように「六フッ化ウラン」という気体に変える。
*濃縮工場 天然ウランには、核分裂を起こす「ウラン235」が0.7%含有し、残りは非核分裂物質
である「ウラン238」である。この「ウラン235」の割合を2〜4%に濃縮する。
これを“低濃縮ウラン”という。濃縮方法としては、ガス拡散法と遠心分離法の2種類がある。
*再転換工場 濃縮ウランを粉末の二酸化ウランにする。
*加工工場 二酸化ウランを焼き固めて「ペレット」にし、金属の管に入れて「燃料棒」にし、
それを束ねて「燃料集合体」とする。これを原子炉に使用する。
*再処理工場 使用済み核燃料を溶かして、燃え残りのウランやプルトニウムを取り出す。以前は
イギリス、フランスに再処理を委託していたが、現在は青森県六ヶ所村に工場を建設し運転を
開始した。
*放射性廃棄物の処理
高レベル廃棄物:使用済み燃料からプルトニウム等を取り出した後の廃棄物は、ガラスと混ぜ
てステンレス容器につめ、青森県六ヶ所村の「中間貯蔵施設」に保管する。
低レベル廃棄物:原発をはじめ原子力施設から出る放射能で汚染されたゴミで、ドラム缶に詰
めて地下に埋める。
2005年12月22日の新潟大停電 (2006/01/10更新)
<参考写真> 東京電力 新野田変電所付近の送電線
過去の問題研究 ”最近11年間(H7年〜H17年)の計算問題”(主にB問題、一部関連A問題を含む)
(B問題:比較的難しく、配点が一問10点。 A問題:比較的易しく、配点が一問5点)
計算問題の出題傾向 (赤字は平成17年の問題)
- | H7 | H8 | H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | H17 | 問 題 概 要 | 問 | 解 | |
水力発電 | - | B | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 河川の流域面積、年間降雨量、発生電力量 | (1) | (1) | |
- | - | - | B | - | - | - | - | - | - | - | 揚水発電関係の問題 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | A | - | - | - | 理論水力、水車出力、発電機出力などの問題 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | A | - | ベルヌーイの定理の問題 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ||
火力発電 | B | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 発生する二酸化炭素量の計算 | (1) | (1) | |
- | - | B | - | - | - | - | - | - | - | - | 水力・火力発電の負荷分担、年負荷率の計算 | ||||
- | - | - | - | A | - | - | - | - | - | - | ランキンサイクル系の熱効率 | ||||
- | - | - | - | - | B | - | - | - | - | - | 発電電力量、発電機効率 | ||||
- | - | - | - | - | - | B | - | - | - | - | 発電機効率、タービン効率 | (2) | (2) | ||
- | - | - | - | - | - | - | B | - | - | - | 復水器冷却水の温度上昇 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | B | - | - | 発電機効率、ボイラ効率 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | A | - | コンバインドサイクルの熱効率 | (3) | |||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | B | - | 設備利用率、送電端効率 | (3) | |||
- | - | - | - | B | - | - | - | - | - | - | 蒸気タービンの速度調定率(水車でも同じ) | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | B | 発生する二酸化炭素量の計算 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ||
原子力発電 | - | - | - | - | - | A | - | - | - | A | - | ウラン235の核分裂エネルギー | (1) | (1) | |
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ||
送・配電線路 | B | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 変圧器のV結線:△結線の1台故障でV結線となったときの、負荷容量と変圧器の利用率 | (1) | (1) | |
- | B | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 三相配電線の電圧降下 | ||||
- | - | B | - | - | - | - | - | - | - | - | 三相配電線の負荷と変圧器の電流 | ||||
- | - | - | - | B | - | - | - | - | - | - | 単相3線式低圧配電線の電流と線路損失 | (2) | |||
- | - | - | - | - | B | - | - | - | - | - | 単相2線式ループ配電線の電圧降下 | (2) | |||
- | - | - | - | - | - | B | - | - | - | - | 三相3線式高圧配電線の電圧降下(遅れ力率の負荷が二つ) <負荷が一つの基本問題>は ”ここから” |
||||
- | - | - | - | - | - | - | - | B | - | - | 架空電線路のたるみ、温度上昇とたるみの変化 | (3) | |||
- | - | - | - | - | - | - | - | B | - | - | 単相2線式・枝分かれ配電線の電圧降下 | (3) | |||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | B | - | 単相3線式配電線のバランサ、線路損失の変化計算 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | A | 三相3線式配電線の抵抗損 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | B | 単相変圧器の並行運転 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | B | 単相2線式・ループ配電線の電圧降下 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | A | 架空送電線の線路定数R、L、C、導体の温度係数、直流抵抗、表皮効果 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ||
短絡電流計算 | - | - | - | B | - | - | - | - | - | - | - | %Xが与えられ、規準容量による変換を必要としないもの | (1) | (1) | |
- | - | - | - | - | - | - | B | - | - | - | 上に同じ | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | A | - | - | 三相短絡電流の基本公式を導き出す問題 | ||||
- | A | - | - | - | - | - | - | - | - | - | %ZからZ[Ω]への変換、三相短絡電流計算の基本問題 | ||||
- | - | - | - | - | - | - | - | - | B | - | %Xが与えられ、規準容量による変換が必要なもの | (2) | (2) | ||
<参考> 過去の問題 : H5−B問題 | 各部の j X[Ω]が与えられ、変圧器が介在し二次を一次に換算して求める問題 | ||||||||||||||
出題傾向 | 水力発電 : H11年以降、B問題の出題がなく、計算問題はA問題として出題されている。 火力発電 : 似たような問題が多く、毎年出題されるでしょう。 原子力発電 : B問題の出題はなく、計算問題としてはウラン235の核分裂エネルギーの計算。 送・配電線路 : 毎年出題される。理論の ”交流電気回路の計算” の知識が要求される。 短絡電流計算 : 一年おき程度の出題、H15年からB問題が3問になったので、増える可能性あり。 |
平成17年度の問題:(上の表の赤字の問題)
H17火力発電 B問題
H17送・配電線路 A問題
H17送・配電線路 B問題
H17送・配電線路 B問題
H17送・配電線路 A問題
***以上が平成17年度の問題です。**
水力発電・問題(1)
火力発電・問題(1)
火力発電・問題(2)
火力発電・問題(3)
原子力発電・問題(1)
送・配電線路・問題(1)
送・配電線路・問題(2)
送・配電線路・問題(3)
短絡電流・問題(1)
短絡電流・問題(2)
解説と解答
水力発電・解答(1)
火力発電・解答(1)
火力発電・解答(2)
火力発電・解答(3)
原子力発電・解答(1)
送・配電線路・解答(1)
[註] この問題の設問(a)のように、電流の有効分(有効電流)を求めるには、電流ベクトルを
複素数表示した式を求める必要がある。ベクトルの表示法には、複素数表示(直角座標表示)
と極座標表示の2種類あります。これらの詳細説明は ”ここから”。
送・配電線路・解答(3)
三相短絡電流・解答(1)
三相短絡電流・解答(2)
表皮効果(作用)
ベクトルの計算(ベクトルの複素数による表示と計算法)
交流発電機の原理と水車・タービン発電機の比較
三相高圧配電線の電圧降下に関する問題 (負荷が一つの基本問題:平成6年)